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活字地金彫刻師・清水金之助の本をつくる会



「活字地金彫刻師 清水金之助の本」完成記念実演会のお知らせ

清水金之助さん(89歳)の半生をまとめた本の完成を記念して、活字地金彫り実演会を行います。

出演:清水金之助
日時:2011年7月17日(日) 13:00 13:30 - 17:00
※会場には13:00からご入場いただけますが、準備の都合上、13:30以降にいらしていただいたほうが、スムーズにご覧いただけそうです。
場所:大田文化の森 4F (東京都大田区中央2-10-1)
アクセスマップ→ http://www.ota-bunkanomori.jp/access.html

※申し込み不要、入場無料、時間内出入り自由です。

「活字地金彫刻師 清水金之助の本」完成記念実演会のお知らせ_d0191266_0194044.jpg


活字地金彫(活字直彫、種字彫刻)とは、活版印刷で使われる活字のもととなる母型(凹型)を作るための、さらにもととなる種字(父型)を、鉛と錫の合金である活字材に原寸・左右逆字でじかに凸刻していく技術のことです。新聞などに使用される大きさのわずか数ミリ四方の小さな活字材に、下書きもなくまたたくまに美しい文字を彫り上げるさまは、まさに神業。人の手がこれほどの仕事をできるのかと驚くばかりですが、昭和30年代(1950年代後半)にベントン母型彫刻機という機械による母型彫刻が普及するまでは、こうした種字職人が活字を生み出していたのです。

すでに種字からの母型製作は途絶えて久しく、直彫りを行える職人さんも、ごくわずかしか残っていません。現代の私たちからは想像もつかない神業を見ることができる、貴重な機会です。ぜひ、みなさまお誘い合わせのうえ、お越しいただければ幸いです。

刊行基金にご協力いただいた方で、ご来場いただける方には、このときに本をお渡ししたいと思っています。準備の関係上、もしよろしければ、いらっしゃる際には事前にご一報いただければ幸いです。

また、本を申し込んでいない方にも、ぜひ実演にいらしていただければと思います。ぜひ、周りの方々に広くお伝えください。


【問い合わせ先】
清水金之助の本をつくる会事務局(担当:雪 朱里)
※お問い合わせはできるだけメールでお願いします。
kinnosuke_kai@excite.co.jp
Twitterハッシュタグ #kinnosuke

株式会社グラフィック社 「デザインのひきだし」編集部内
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-14-17
TEL.03-3263-4579 FAX.03-5275-3579
# by kinnosuke_kai | 2011-07-06 00:28 | お知らせ

清水金之助の本、ついに印刷へ!

「清水金之助の本」、三度の校正を経て、ようやく印刷までたどりつきました!
6月24日、大型の枚葉活版印刷機による本文の刷り出し立ち会いのため、内外文字印刷さんがよく刷りをお願いしているという、櫻印刷さんに行ってまいりました。

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じゃーん! これが組みあがった本文。周囲は解版糸で縛られ、固定されています。

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活版の版にはトンボがないため、仕上がりサイズや折りを考えながら、枚葉活版印刷機の上で版を組み付けていきます。

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試し刷りをしてはチェック。気さくな櫻印刷の長谷さんですが、刷り物を見る目は鋭く光ります。

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今回の本では、もともとは本文に使用する活字を内外文字印刷のモノタイプですべて新しく鋳造する予定でした。ところが、3月11日の大地震の影響でモノタイプが壊れてしまい、手拾いの活字を使用することに。鋳造したタイミングが活字により異なるため、高さが微妙に違っており、文字に濃淡差が。そのムラをなくすために細かく薄紙を貼って圧を調整し、ムラ取りをしてくれました。

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白い紙だけでなく、小さくあちこちに貼られている黄色などの紙も、すべてムラ取りのため。

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何度もムラ取りを繰り返します。

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丹念なムラ取りと試し刷りの後、本刷りへ。こうしてどんどん刷り上がっていきます。

この翌日、25日には、口絵カラーページ(この部分はオフセット印刷)の刷り出し立ち会いに、装幀の名久井さん、編集の津田さんが行ってくれました。幾人もの熟練した職人さんたちの技術が、この一冊の本を形にしてくれています。このあと製本工程を経て、本になります。みなさまにお見せできるまで、あと少し。どうぞ楽しみにお待ちください!
# by kinnosuke_kai | 2011-06-25 22:14 | 制作日記

清水金之助さんと打ち合わせをしてきました

6月3日(金)、刊行基金にご協力いただいた方々のことや、本の進行状況のご報告、それから口絵などの内容をご確認いただくべく、清水金之助さんのお宅にうかがってきました。初めて訪問する人がいると聞くと、さっそく直彫り実演をしてくださる清水さん。「ひさしぶりだから、指がやわらかくなっちゃって」とおっしゃりながら、またたく間に彫り上げてくださいました。さすが!

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そして、私たちが本の制作でバタバタしていたら、清水さん自ら実演会の会場を予約してきてくださいました!(す、すみません…)
下記のとおり行う予定です。

「清水金之助の本」完成記念実演会
7月17日(日)13〜17時 於:大田文化の森


後日あらためて、詳細をお知らせいたします。一人でも多くの方に、清水さんの実演をご覧いただきたいと思いますので、周囲の方に広くお伝えいただければ幸いです。

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本は現在、本文の初校を内外文字印刷さんに戻し、修正していただいているところです(写真左は指定原稿、右が初校ゲラ)。同時に、口絵に掲載する写真のセレクトや、口絵の構成などを進めています。7月17日の実演会で「活字地金彫刻師・清水金之助の本(仮)」をみなさまに無事お披露目できるよう、がんばってまいります!
# by kinnosuke_kai | 2011-06-06 14:42 | 制作日記

「清水金之助の本」刊行基金にたくさんのご協力、ありがとうございました。

久々の更新となってしまいました。

3月末を〆切として募集させていただいていた「清水金之助の本」刊行基金ですが、全部で

164名  260口 
(一口 5,000円)

のご協力いただくことができました。(2011/06/01現在)

正式な会計報告は、制作費用などの精算が終わってから行いたいと思いますが、こんなにも多くの方々にご協力いただけたことを、取り急ぎみなさまにご報告したいと思います。

ご協力をお申し出いただく際のメールにも、心あたたまるメッセージをたくさんいただきました。メールを開くたび、涙が出そうでした。制作スタッフ一同、ご協力くださったお一人お一人の気持ちに支えられながら、本づくりに取り組んでおります。

当初、春頃刊行予定としていたところ、遅れてしまっていますが、現在、7月頃の完成を目指し進めております。完成記念実演会は必ず行いたいと思っていますので、どうぞみなさま、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

本当に、ありがとうございました。
# by kinnosuke_kai | 2011-06-01 17:34 | お知らせ

文選・植字を見学してきました

3月31日、板橋区にある内外文字印刷さんに、清水金之助さんの本の文選・植字の様子を見学しに行ってきました。

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2月26日にアップした記事にあるように、今回の本は当初、モノタイプ(活字自動鋳造植字機)を用いて必要な活字をそろえ、手作業での植字→校正→印刷と進む予定でした。制作過程を記録・撮影したいというこちらの要望もあり、モノタイプの作業を3月12日(土)に行う予定にしていたのです。……そう、東日本大震災の翌日でした。

震災当日の夜遅くに「延期」の連絡をとりあい、翌朝、内外文字印刷さんにお電話したときには、「活字ケースが落ちて大変な状態だが、機械は大丈夫そう」とのことでした。見た目には特に損傷は見受けられなかったそうです。ところがその後、動かしてみたところ、きちんとした活字が鋳造できないとのご連絡をいただきました。

このため、清水さんの本は文選(原稿にしたがって活字棚から活字を拾い、文選箱に納めていくこと)から手作業で行うことになりました。見学、撮影にうかがいたいという私たちのために、内外文字印刷さんでは当日までに、作業に支障がないよう活字ケースを馬棚に戻してくださったようです。訪れてみると、別の棚にはまだおさめられていない活字ケースがいくつか床に置かれていました。ほんとうに大変ななか本づくりを進めていただけることに、改めて感謝しながら、作業を見せていただきました。

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▲清水金之助さんの本の原稿と辞書、そして活字。

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▲文選の様子。原稿を見ながら、一文字一文字、棚から活字を拾っていきます。拾った活字は文選箱へ。

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▲文選された活字を、原稿と組み付け指定を見ながら、植字職人さんがあっという間に組み上げていきます。スペースにはインテルや約物を入れ、またたくまに体裁を整えて組み上げていくあまりの速さに驚きました。見学陣から思わず「ブラインドタッチ!」という言葉がもれたほどのスピードでした。

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▲組み上げると、崩れないよう1頁ごとにタコ糸で縛り、固定します。

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▲そして校正機で校正刷り。

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▲刷り上がった校正刷りがこちら。本文の1頁目です。ゲタ(〓)がずいぶんあるのがわかります。ゲタとは、ない活字の代替として入れられたもの(余っている活字を逆さにして埋め込む)。「学校」の「校」や「夜」など、普段なら当然ある文字がゲタになっているのは、地震後、活字がケースから落ちてしまい、必要な活字がまだ鋳造しきれていなかったためです。

このような感じで、文選から校正刷りまでをひと通り見せていただきました。今後、順次校正を出していただき、校了まで進めていくかたちです。震災後、落ち着くまでしばらく進行が止まっていたこと、手作業での文選となることから、当初予定していたよりも、刊行が遅れてしまうかもしれません。でも、職人さんが一字一字ていねいに拾ってくださっていますので、どうか皆様、しばらくお待ちいただければ幸いです。
# by kinnosuke_kai | 2011-04-04 01:26 | 制作日記


「活字地金彫刻師・清水金之助の本をつくる会」のお知らせを綴るブログです。

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